*稽古の記録*旅箪笥(たびだんす)のお点前

2月のお茶の稽古は、旅箪笥(たびだんす)が出ていました。
(写真はイメージです)

桐でできた箪笥(たんす)のようなこの容れ物は、別名「利休箪笥」(りきゅうだんす)ともいうそうで、千利休が豊臣秀吉の小田原の陣に従った際に考案したといわれています。


お茶を習いはじめのころ、当時93歳でいらした大先生が旅箪笥のお点前の度に弁慶が勧進帳で背中に担いでいた笈(おい)のような持ち運びできる桐の箪笥だよ、と教えてくださったのがずっと頭に残っていて、私の中では旅箪笥というとすぐに弁慶を思い浮かべてしまう、ちょっと特別な設えです。

(イメージです)


旅箪笥は金具を外して中をあけると二段板の板で棚になっています。

中に水差し、蓋置、柄杓、平棗などを入れてセッティング。
蓋を外して置き合わせをするところからお点前スタートです。

まだまだ寒い2月ですが、旅箪笥が出てくるとそろそろ野点の季節梅の花、それから桜、と気持ちが春に向かっていきます。

茶花は侘助(椿)とマンサクと水仙が活けられていました。


今回は旅箪笥でのお薄(薄茶)を稽古しました。

お茶会などでみなさんの前でお点前する時は、濃茶よりも薄茶のお点前であることが多いので、薄茶を完璧にしておくことが肝要で、濃茶は手数が多いぶん、お客様からも丁寧に見えるのですが、お薄は手数が少なく、サッサッとカッコよく決めつつも、あまり早すぎると早く終わりすぎてしまい、場が間延びしてしまうので、「ちょうどよい塩梅」が必要で、このあたりを学んでいると、いよいよ私もだんだんレベルアップしてきているんだな、と緊張してきます。


以前は覚えるのに必死だったのに、今は自動的に手が動くようになってきて、今からは自分本位でなく、お客様のために「見せる」「魅せる」お点前の段階に来ている、ということで、ここらへんの感覚はプロの接客業スタッフとまったく同じで、違う領域(自分との戦い)に入っていてとても興味深いものがあります。


指先まで神経を張り巡らせて、見た目も麗しいお手前ができることによって、点てた一服のお茶をより美味しいものと感じていただける。

難しいけど毎回ちょっとしたことを先生に手直ししていただける、私の今のレベル合わせてぴったりにパーソナライズして教えていただけることに感謝です。


ヒカル









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